【REPORT】アーティストによる、子どもたちのためのアートツアー vol.03|アーティストと巡る 高松コンテンポラリーアート・アニュアルvol.05『見えてる風景/見えない風景』[高松市美術館]

2016.11.26

「アーティストによる、子どもたちのためのアートツアー」第3回は、一時画伯発起人である流 麻二果が出品していた高松市美術館での展覧会、高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.05「見えてる風景/見えない風景」にて開催されました。

一時画伯は発足当初から「アートに触れる機会の少ない子どもたち」として小学生以下を対象にワークショップやアートツアーを開催してきました。5年という活動期間の中で、親御さんと一緒に出かける機会も減り、かといって自主的になかなか来る事の出来ない、中学生という世代も「アートに触れる機会の少ない子どもたち(子どもではないけれど)」である事に気付きました。感受性豊かな世代にも、是非アートに触れて欲しい。そんな想いは美術館の方々も持っていらして、今回、高松市美術館に全面的ご協力頂き、高松市内から、香川大学教育学部附属高松中学校、高松市立下笠居中学校、高松市立紫雲中学校の生徒さん15名と共に、初の中学生向けアートツアーが実現しました。

開催した10月8日は、展覧会の初日。来場していたアーティスト全員にご協力頂く事が出来ました!豪華!
開館前に開展式が行われ、アートツアー参加者も式典に参列してもらいました。中学生もこのような場は初めてでしょうが、展覧会に参加しているアーティストもほぼ初めて。。。テープカットの作法(片手でリボンを持って、片手でテープカット)を知る由もないアーティスト達のテープカットリボンがボトボトと床に落ちて、、、流も笑って誤摩化しております。
 

 

5名のアーティストによる5つの展示室で構成されていたこの展覧会。
まずは流 麻二果の展示室から幕開けです。
展示室全体が一つの風景のように構成されており、作品の中を歩いて鑑賞者がその風景の一部となる事が出来ます。教室のように作品の上に座り、この作品への想いを聴きます。
 

 

「あ!左の絵から右の貝殻みたいな絵が抜け出てるんだ。」

 

 

「どれくらいの期間で制作するんですか?」という質問に、同行の美術部顧問の先生から「なかなか終わらないもんね〜君は!」と突っ込みが入っていました笑。気が済むまで制作し続ければいいと思いますよ!

 

 

続いてドットアーキテクツの展示室へ。
アートの展覧会に建築家の方々がどんな作品を発表しているのだろう。ドットアーキテクツの家成さんが、建築の構造についてのシンプルなお話と、それを元に制作している今回の作品について柔らかく説明して下さいました。

 

 

支え合って自立しているという作品の中に、ちょっと緊張しながら入っていきました。気になった細部もアーティスト本人に解説してもらえるという贅沢。

 

 

谷澤紗和子さんの展示室には、入るなり「わ〜!」という声があがりました。こういった素直な反応もアートツアーの面白さです。なぜ切り紙という手法を選んだのかなど、ご本人ならではのお話が伺えました。

 

 

 

切り紙によって生じる影と光の世界を、ぐるぐる歩いて楽しんでいました。

 

 

伊藤隆介さんもこのアートツアーに快くご賛同して下さったのですが、残念ながら同時刻にワークショップを開催中だったので、代わりに担当学芸員の毛利直子さんから解説がありました。毛利さんは他のアーティストの展示室でも「担当学芸員の一言コーナー」のごとく(無茶ぶりでしたが)、この展覧会をどのように企画したか、それぞれの作家をどうして選んだか、その作家との展覧会までのやりとり、など沢山エピソードをお聞かせ下さいました。

 

 

「見慣れたシリアルやお菓子の箱が使われてる!それが映像になってる!」と細部まで見つめます。

 

 

最後は来田広大さんの展示室。
説明より、とにかく作品観てください。という来田さんのご意向で先ずは作品を観ながら、少しずつ作家の声を聴きます。アートツアーも終盤になり、観ている作品への親密さが感じられてきたようでした。

 

 

「チョークと黒板がこんな作品になるのか!どこの風景なのかな。」

 

 

 

展覧会を通して、中学生ならではの作品への感じ方があったのではないでしょうか。静かに作品を鑑賞していながらも、お友達とあれこれ話したり、アーティストに話しかけてくれたり、個人個人が様々に受け止めている様子が感じられました。

 

福島、メキシコ、など作品化されていた香川県外の遠い風景も、作品を通して会場にひろがる「見えてる風景」として眺め、各アーティストとの対話を通じてそこから「見えない風景」を感じる。展覧会のテーマでもあった風景との関わりが、このアートツアーによって少しでも深まっていたらと願います。

 

参加して下さった香川大学教育学部附属高松中学校、高松市立下笠居中学校、高松市立紫雲中学校の生徒さん達、引率して下さった藤崎先生、熊田先生、梅木先生、調整して下さった金丸先生、中川先生、そしてスピーカーを努めて下さった5名のアーティストの皆様、今回の開催を受け入れて下さった毛利直子さんを始めとする高松市美術館の方々に心より御礼申し上げます。

 
============【今回見学した展覧会】

高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.05「見えてる風景/見えない風景」

会期:2016 年 10 月 8 日(土)〜2016 年 11 月 6 日(日)

場所:高松市美術館[香川県高松市]

https://www.city.takamatsu.kagawa.jp/museum/takamatsu/exhibitions/ex/20161008.html
============【アーティストによる、こどもたちのためのアートツアーVol.03】
アーティストと巡る 高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.05「見えてる風景/見えない風景」[高松市美術館]
日時:2016 年 10 月 8 日(土)
担当アーティスト:流 麻二果、ドットアーキテクツ、谷澤 紗和子、来田 広大、(伊藤 隆介)
協力:高松市美術館、香川大学教育学部附属高松中学校、高松市立下笠居中学校、高松市立紫雲中学校

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