【REPORT】vol.16 佐原和人:色の幸(いろのさち)~ 石巻市「あおいとり保育園」 ~

2013.07.11

written by フナコシ

6月末日、一時画伯は久しぶりに宮城県でワークショップを開催してきました。

場所は、宮城県石巻市にあるインターナショナル保育園、「ブルーバードインターナショナルプリスクール(あおいとり保育園)」。こちらの保育園は、震災による津波被害があった場所から内陸の方に移設され、私たちが訪れたこの日もその移設建築中でした。

一時画伯の担当アーティストは絵画・映像を主軸に活動している作家、佐原和人さん!

お子さん向けのワークショップ経験も豊富なアーティストさんです。だいぶ前から一時画伯に関わってくれているのですが、今回、ようやく佐原さんのプログラムを実施できることに!

 

さて、このワークショップ開催の経緯は、というとーー。

これまで一時画伯にたくさんのサポートをしていただいているドイツ銀行グループ。今回、ドイツ銀行グループが東日本大震災復興支援活動の1つとして、遊具を設置する活動をしている

NPOPlayground Of Hope (SBSI)を通じて、こちらの保育園に遊具を設置&寄贈することになり、その設置イベントの1コンテンツとして、一時画伯にアートワークショップのオファーをいただいたのです。

 

私たち一時画伯チームは、前日入り。雲行きが怪しい中、保育園にたどり着いてみると…

施行会社が設置しに来ていると思いきや、なんと(きっと普段はピシっとスーツを着て金融マンされているだろう)ドイツ銀行グループの方達が砂まみれで遊具を設営中([ Do It Yourself ]で組み立て可能の遊具だそうです)!ドイツ銀行グループの方達は総勢30名くらいでいらしていて、この活動のためにアジア圏のオフィスからもスタッフの方が来日。一時画伯チームには日本、香港とマレーシアのオフィスの方が加わってくれました!

 

というわけで、我々も負けじと?準備開始です!

16回目(!)となる今回のプログラムは、思いっきり絵の具で遊ぶもの。ワークショップ前日は、持ってきた絵の具の色数ぶん、色水をつくりました。

 

※すべての写真はクリックすると拡大できます

 

ワークショップ「色の幸(いろのさち)」のコンセプトは、なにかを強く願う事。

家族やお友達、ご先祖様、神様、仏様、山・海、木々や空……

参加者各自が選んだ「なにか」に向かって念じ、強く願うことによって訪れる心の状態を絵の上にのせていく。そしてその絵で大漁旗をつくるワークショップです。

どうやって作っていくのか……それは想像するだけで大人も「やりたい…」と思う行程!

 

① なにかを強く願って色見本BOXから福引きのように色見本を引きます。

② 色見本に描かれている色の水を、やはり色見本に記載されている道具をつかって、思いっきり布(=大漁旗)にむかって撒く。

③乾燥させると予めアーティストがロウで描いた絵が浮かんできて、大漁旗が完成!


ワークショップ前半では、みんなでひとつの大漁旗を。

大きな旗には、保育園の名にちなんだ「鳥」が白く浮かんくるように用意し、後半には、ご自宅に持って帰れるミニ大漁旗をつくりました。最初は消極的だった子どもたちも、2投目からは「あそこに撒きたい」「思いっきり遠くまで!」という意思が現れていました。

※ワークショップ前の大漁旗。大漁旗を染めるお店で購入、2,4 m  x 3,6 m の大きな旗。色水もならべて準備万端!

「願う」という心の動きを通して得られたものを通して、思いっきり色遊びをするーー

子どもの奔放さや自由さが前面にあらわれるプログラムです。同時にきれいな色や色の組み合わせの感覚、「どんな色水痕にしたいのか」という気持ちからくる構図のイメージなど、参加者は、画家として活躍するアーティストのワークショップだからこそ得られる感覚に出会えたのではないでしょうか。

 

さあ、当日の様子、みんなが楽しんでいる様子をジャジャジャンとお見せしますよ~!

※こちらは、先述のPlayground Of Hope  (SBSI)さんとドイツ銀行グループさんで設置した遊具!写真にはありませんが、子どもたちがさっそくこの遊具で遊んでいました!

※ドイツ銀行グループのみなさんがホットドッグ&ハンバーガー、チョレートフォンデュを。子どもたちも大きな口をあけて、たくさん食べていました!

※まずはアーティストから、参加者に趣旨説明。そして1人ずつ「なにかを強く思って」中身の見えない箱から色見本を引き当てます。

※乾燥&完成!最後には今回のボランティアチームの皆さんと記念撮影。写真の具合で見えにくいのですが、旗にはアーティストによるロウで描いた鳥の絵が。

ワークショップ終了後、一時画伯チームは、石巻の沿岸部を訪れました。

目の前に広がる、広大な建築現場のような光景。廃墟で残ったままの、津波によって破壊されたままの家々。震災から2年が経っているとはいえ、このような状況をみると、震災直後の悲しみがこみあげ、はっとさせられます。メディアを通じて、こういう光景に麻痺しているのではないか?と戒めになります。

門脇地区の小学校にも行きました。この学校は震災で火事となり、煤けたままの状態でいまも残っています(シートに覆われていたとはいえ)。学校という、毎日の思い出がつまっている場所がこういう状況になっているのを見るのは辛いことです。

子どもたちには、色水で一緒に遊んでいたときのような、いつも楽しそうな表情でいてもらいたい。子どもたちの笑い声が、以前のように聞こえてくる場所が早く・もっと増えて行く事を心から願います。私たち一時画伯も、アートを通じてそのサポートを続けていきます。

・お声掛けいただき、いつも私たちに多大なご協力をいただいているドイツ銀行グループの皆様

・先生方もたくさんのサポートをしてくださいました。ブルーバードインターナショナルプリスクール(あおいとり保育園)の皆様

・コーディネーションしてくださったPlayground Of Hope(SBSI)の皆様

・子どもたちが「もう一回やりたい!」と言ってくれる素敵なWSを考えて下さった佐原さん

・初参加なのにテキパキ動いてくれたKちゃん & 仙台から来てくれていつも頼りになる宮城大OB、Iくん

 

そして、参加して下さったお子さん・ご家族

 

ご協力いただいた全ての方々に御礼申し上げます。ありがとうございました!

 

実は、ワークショップ当日、準備をしているときは霧雨が降っていたので、子どもたちが来てくれるのか心配でしたがイベント開始直前に、雨がやんだのです!!たくさんの人からの「晴れるように祈っておく!」という気持ちが届いたんだなと思います!この気持ちを送ってくれたみなさんにも感謝です。

また石巻でワークショップを開催することになりましたら、どうぞよろしくお願いいたします!

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